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zoom RSS In Memory of MORIOKA Ken

<<   作成日時 : 2016/07/14 00:50   >>

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 去る6月3日、元Soft Balletで現minus(-)メンバーの森岡賢氏が49歳の若さで突然この世を去りました。
 ニューウェーヴやテクノポップから受けた影響をベースに、自らのルーツであるクラシックのエッセンスを取り入れた独自の音楽性。更に耽美的センスや特異な美意識、さらに自身の生まれ持った上品さ(父は昭和歌謡史に名を残す編曲家・森岡賢一郎氏)が組み合わされて生み出される楽曲はオリジナリティに溢れており、なおかつこの上なく美しくポップとしか表現しようがない音楽性へと昇華されていました。誇張抜きで不世出のクリエーターであり、パフォーマーとしても一流の希有な天才でした。惜しいとしか言葉が見つかりません。

 私が今まで偏見的なイメージしか持っていなかったSoft Balletにみるみるうちに魅せられていった経緯は、何よりこのブログに克明に記されています。あれから熱が冷めたわけではなく、継続的に私のプレーヤーでは彼らの曲がかかっていました。
 何より、Soft Ballet時代の盟友にして最も音楽性に隔たりがあったと思われる藤井麻輝氏とまさかの再会。minus(-)を結成した2人は精力的な活動を開始し、昨年末には2ndミニアルバムを発表。今年は初のフルアルバムリリースが予定され、ライヴツアーも発表されたばかりでの訃報。本当にショックです。

 体型も美貌も第1期Soft Ballet時代から殆ど変化がなく、宇宙人なのではないか(それこそ、氏が敬愛したDavid Bowieの如く)と錯覚するくらい若々しかったので、まさかこんな時が訪れるとは思っていませんでした。
 minus(-)もいつか行きたいけど、今は難しいなぁ…と漠然と考えていただけなので、私は永遠に生で森岡氏のパフォーマンスを観る機会を失ったわけです。悔やんでも悔やみ切れません。

 私が考える森岡氏のSoft Ballet時代の代表曲を10曲選び、追悼したいと思います。


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Body to Body
1st Single / 1st Album 『Earth Born』
 Soft Balletの記念すべきメジャーデビュー曲。最初に代表作がいきなり生まれてしまうのが凄いところ。その後も常にライブでも取り上げられ、彼らを象徴する曲となりました。
 エレクトリック・ボディ・ビートと銘打たれた音楽性通り、エレクトロ・ミュージックでありながら声のSEや激しいメタル・パーカッションの音など、デジタルな中にもフィジカルな要素が見え隠れするのが魅力。
 とにかくアレンジもPVも怪しく退廃的なムードが満載で、意味深かつ程好い中二感の遠藤氏の歌詞と相俟って相当なインパクト。これをリアルタイムで聞いた人は驚いただろうなぁと、後追いとしては思いを馳せる事しか出来ません。
 遠藤氏の若々しい歌唱、PVでの藤井氏のバイオレンスな動きなど初々しさも感じる中、とにかく徹頭徹尾“森岡賢”でしかない森岡氏のブレの無さに驚くばかりです。このPVとminus(-)での近年のライブ・アクト、個人的に印象が全く変わりません。


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After Images
2nd Album 『Document』
 2ndアルバムのラストを飾るバラード。美しいメロディ、女性コーラスの入れ方の上手さなど神々しさすら感じるアレンジ、研ぎ澄まされた遠藤氏の歌詞。名曲中の名曲です。
 まだ青さの残るオリジナル・バージョンも良いですが、個人的には録り直された2枚組ベスト『Soft Ballet』のバージョンの方が好きです。深みを増した遠藤氏のヴォーカル含め、完成度高し。


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Brilliant Fault and Sky was Blue
Mini Album 『3 (drai)』
 「Soft Balletの代表作」という括りならこの曲は入らないかもしれませんが、森岡作品を語るならば外せないでしょう。Soft Ballet唯一の森岡ヴォーカル曲。ソロ・アルバムを何枚も発表し、minus(-)でも歌っていた森岡氏も、ソフバ時代に自らリード・ヴォーカルを執ったのはこの曲だけです。意外にも、藤井氏の方がメインで歌った曲は多いのですね…。
 タイトル通り、リゾートでのバカンスを歌ったと思しきナンバー。南国を想起させるパーカッションのリズムにスティール・ギターなど、テクノポップ要素は意外にも控えめ。ゆったりと歌い上げるメロディが、リラックスしたムードを与えてくれます。
 個人的には、ただバカンスを過ごしている若者の歌というよりは、何らかの極限体験や非常に辛い思い出を乗り切った人物が、南の島で達観の境地に達しているような印象を受けます。大滝詠一「カナリア諸島にて」のような…今となって歌詞を読み返してみると、意味深に響いてくる部分が多く、何とも言えない気分になります。


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Ego Dance
4th Single / 3rd Album 『愛と平和』
 アルファ・レコード時代最も売れたアルバムにして代表作『愛と平和』収録。とにかくアッパーでポップ、そしてダンサブル。世間にアピールする要素もバッチリで、森岡節が遂に確立された感があります。
 当時のフロアで踊れるBGMにもなったと思われるこの曲、とにかくイントロのベースやシンセのフレーズが格好良く、とにかく痺れました。私がSoft BalletのCDを買ってみようと思ったのは、YouTubeで見た「White Shaman」のライブ映像、そしてニコ動で見たこの曲のPVが決定的なきっかけです。
 アルバム全体が湾岸戦争の影響を色濃く感じさせるものとなっており、先行シングルであるこの曲はその嚆矢となっているような内容。テンション高くシャウトして歌い上げるヴォーカルといい、遠藤氏の試行錯誤と成長の過程がよくわかります。


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Tango in Eden
3rd Album 『愛と平和』
 『愛と平和』を代表する名曲。重厚に組み上げられたシンセ・フレーズ、恐らくキリスト教的世界観を日本人の視点からスポットを当てたような歌詞など様々な要素がありますが、とにかく曲として素晴らしい。モリケンメロディ、ここに極まれり。最高です。
 名曲揃いの『愛と平和』を置き土産に、Soft Balletはアルファからビクターへレコード会社を移籍。加速度的に進化の度合いを深めていく事となります。


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Whole the Whole
4th Album 『Million Mirrors』
 ビクター移籍第1弾『Million Mirrors』収録。藤井氏が「ミーハーファンを切り捨てる」と宣言した通り、前作『愛と平和』のキャッチーさは徹底的に排除され、ダークでヘヴィなテクノ・サウンドが満ちたアルバムに。YMOの『BGM』との類似性を感じてしまいますが、異形の名作となった点でも共通していると思います。個人的にはこのアルバムがSoft Ballet最高傑作。
 サウンドのイニシアティヴは藤井氏が握ったアルバムですが、作った曲は意外にも森岡氏の方が多かったりします。とにかく全曲が最高なので1曲選ぶのは本当に難しいのですが、その中でも特異なモリケン・サウンドのポップさが際立つこの曲が代表として相応しいのではないかと。サビの自由に舞い踊るようなシンセ・フレーズが印象的。
 オペラティックで太く、地を這うような低音ヴォーカル。徐々に難解さを増していく哲学的な歌詞。そしてため息が出るくらい美しさを増した容姿…まるで何かに取り憑かれたかのような遠藤氏の豹変ぶり、そして成長ぶりが目映い作品でもあります。つい1年前までとは全てが別人のよう。悪魔と契約したのかと言われれば信じてしまうくらい…当時のファンの人は、この変化にどう対応したのか知りたいところ。
 この後、遠藤氏は1年単位で見た目もヴォーカル・スタイルも作詞も変貌を遂げていきます。ソフバ活動中、最も変化し成長したのは間違いなくこの人でしょう。


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Engaging Universe
7th Single / 5th Album 『Incubate』
 ビクター期の代表作とも言える『Incubate』、その先行シングル「White Shaman」とこの曲は、一般リスナーにアピールする要素も十分な普遍的ポップさがあります。
 先日公開された藤井氏のインタビューではこの時期が森岡氏の絶頂期であり、特に(とある作品ファンには有名な)「Parade」を代表作として挙げておられましたが、サウンドの美しさと歌詞のわけのわからない深さ、歌の完成度とという点で私はこの曲を選びました。
 ちなみに、私が生まれて始めて入手したソフバのCDがこのシングルです。なかなか他のCDが届かなくて、ここに入っている2曲を繰り返し繰り返し聴いていたなぁ…。
 ABBA「Dancing Queen」をモチーフにした華やかなイントロ、流麗なメロディに乗るのは、遠藤氏のタイトルからして難解な歌詞、そして完成の域に達したオペラ風唱法。藤井氏の色が限りなく薄いですが、森岡&遠藤のコラボレーションでもかなり上位に食い込む完成度でしょう。
 PVも女性にしか見えない遠藤氏が非常に美しく、お気に入りの作品ですが、ソフバファンでない人があの独特な遠藤ダンスを見たらどう思うのか、ちょっと怖くもあります。


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You
9th Single / 6th Album 『Form』
 メジャーデビューから6年。常に進化(深化)しながらあっという間に駆け抜けた日々に、アルバム『Form』にて一応のピリオドが打たれます。あまりの個性の強さに「結成した頃から解散寸前の状態が続いてい」た(藤井氏の発言)彼ら、この結末も避けられなかったのかもしれません。
 第1期のラスト作はベースやシーケンスフレーズにソフバらしさは顕著なものの、全体的にガラリと印象が変わりました。藤井氏が傾倒し始めたギター・サウンド、そして生ドラムの全面的な導入。従来通りデジタル要素を取り入れつつ、かなりロックな音になっているのが特徴です。
 サウンドに対応したのか、遠藤氏の歌もより自然体に、グラマラスなロック・ヴォーカルへと変化。後のEnds(ソロ)でのワイルドさが既に顔を見せています。個人的に、遠藤氏の歌声はここからEndsの1stまでが一番好み。
 2人に対し、ちょっと元気のない森岡氏ですが、そのポップ性は当然健在。名曲「Phoenix」(藤井氏と共作)や、パーソナルな佳曲「Last Song」「Roman」を残しています。
 そして何といっても先行シングルのこの曲。しっかりロックなサウンドに対応したスマッシュなナンバーを書いてきました。遠藤氏の延びのある歌、今までならまず書かなかったであろう歌詞とマッチし、ルーズで格好良い曲となっています。つい2年前まで哲学的で難解な詩を歌っていた人が、いきなり「愛してるなんて〜 歌えやしないよ〜」と高らかに歌い上げるインパクト。これも、リアルタイムのファンの方々は変化に驚いたのでしょうか。
 『Form』は冒頭2曲(「You」「Phoenix」)のインパクトが強すぎるせいで地味なアルバムだと思っていましたが、最近はよく聴きます。いわゆるスルメな作品ですね。「Ride」や「Perfection」が好きです。


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メルヘンダイバー
10th Single / 7th Album 『Symbiont』
 日本中が日韓ワールドカップに沸く2002年、突如としてSoft Ballet再始動。7年の時を経てドロップされたのは、クリーン・トーンのギターが鳴り響く穏やかなアレンジ、優しげなメロディにリスナーに寄り添うような歌詞、そして何といっても大きく成長した遠藤氏のマッチョなヴォーカルを押し出したこのシングルでした。
 かつてのファンの方々はこの変貌に大きく戸惑い、特に遠藤氏の歌声にかなり困惑された模様。今でも、ネット上では「再結成は遠藤のヴォーカルが…」「遠藤がEndsのままで見苦しい」など否定的な意見を持った方が多いようです。
 しかし、全てのアルバムをほぼ同時にフラットな視点で聴いた後追いファンとしては、正直戸惑う理由はありませんでした。Soft Balletは、特に遠藤氏は常に変化を続けている事は全ての作品を聴けば明白であり、その延長線上にこの再結成時のスタイルがあったという事。これを「Endsを引きずっている」と否定的に取るのではなく、「先輩2人に引けを取らないくらいEndsの活動で成長し、彼なりの表現方法へと到達した」と捉えています。
 かつての難解さはどこへやら、わかりやすい歌詞がとても染みます。「愛した時に見つけたものは素直な気持ちなのさ それは虹を見て立ち止まる事 夏を待つ夕暮れ」の一節が特に好きで…森岡氏のペンによると思われる曲も、「テクノバンドが大人になってやるポップで穏やかな曲」(例えばPet Shop Boysのような)感があり、余裕と貫禄が感じられて好きです。かつての派手さはないですが、ソフバのディスコグラフィーでも屈指の「染みる曲」。
 3人が武士に扮したPVも非常に格好良いです。ニコ動で何度この動画を見た事か…。


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Smashing the Sun
12th Single / 8th Album 『Menopause』
 再結成ソフバ最後の、というよりもSoft Balletとして結果的にラストとなったシングル。森岡氏は近年も3人での活動を望んでいたようですが、それは二度と叶わぬ願いとなってしまいました。
 オルタナ系の激しいサウンドとなったラスト作『Menopause』ですが、この曲は異色。とにかくストレートにキャッチー、かつしっかり現代的にアップデートされた打ち込みサウンド。乱れ打たれるハウス風のピアノと四つ打ちリズムがソフバとしては逆に新鮮で、これは間違いなく森岡氏のペンによるものでしょう。
 あまりにもストレート過ぎて「ソフバらしさが薄い」とい意見も頷けますが、これまたフラットな観点から聴くとこれほど良い曲もない、という印象。きらびやかな打ち込みサウンドに乗る遠藤氏の男らしいヴォーカル、というのもまた良いものです。


 ちなみにSoft Ballet楽曲の中から縛り無しで特に好きなものを10曲選ぶと、個人的にはこうなります。
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 ファンの人からすると、あまり面白くない選曲でしょうね…。


 さて、後追いSoft Balletファンとして遮二無二音源を短期間でかき集めた事は、前述通り2010年秋にこのブログに書いています。今読み返すと、当時の熱に浮かされている様子が伝わってきてある意味ドキュメンタリーのよう。
 オリジナル・アルバムはあっという間にコンプリート。シングルも可能な限り収集し、未入手のままだった「You」も先日遂に入手。アルバム未収録のカップリング曲「Eye」がアンビエント作品で敬遠していたのですが、現在中古市場でSoft Ballet関連は便乗値上げが顕著なので、手の届かない価格にまで高騰する前に買っておこうと思ったわけです。
 バージョン・ミックス違いを考慮しなければ、オリジナル曲はこれでほぼ全てが揃いました。ただ1曲を除いては…。
 再結成Soft Balletの3枚目のシングルにして、恐らくは二度と出る事のない彼らのラストシングル「Smashing the Sun」。そのカップリング「Tuesday」が、Soft Ballet楽曲最後の砦でした。しかしこのシングルは私が彼らのファンになった2010年の時点で既に入手困難で、少なくとも中古盤店で一度も見かけた事がありません。Amazonマーケットプレイスやヤフオクは言うまでもなく高額。
 勿論、3000〜4000円を出せば入手出来ない事はないのですが、洋盤なら3枚は買える値段を1曲のためにかける気にはなれませんでした。私自身、Soft Balletだけでなく他の様々な音楽を聴きたいので、さすがにこの値段を出せるほど裕福ではないのです。
 今後もこの状況では価格が落ちる事はとても考えられず、半ば入手は諦めていたファン歴6年目。しかし先々週末、暇つぶし用の本を探すために何気なく入ったブックオフのシングルCDコーナーにて。
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 まさかの邂逅。
 復活第1弾シングル「メルヘンダイバー」を確認し、まずこういった店では見かけないラインナップに「何だか珍しい入荷状況だぞ、これはもしかしたら…」という予感が的中しました。ブックオフのシングルCDコーナーなので、勿論値段も…ゴチになりました!
 森岡氏の訃報から毎日Soft Balletとminus(-)の再生を義務化しているこのタイミング、まるで音楽の神が引き合わせてくれたとしか思えません。こういう事ってあるんですね…ひたすら感謝。ああ、ソフバ風に言えば「豚に感謝」って感じですか。
 写真でわかる通り、「メルヘンダイバー」も保護しておきました。こちらはもうとっくの昔に買ってるんですけどね。確か、再結成後のシングル・アルバムは全てディスクユニオンで購入した記憶があります。


 こうしてほぼ全てのSoft Ballet作品を入手出来、改めて森岡氏のオンリーワンな才能を実感した次第です。ご冥福をお祈りします。

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